2010年9月18日土曜日

LED

パチンコ店だろうか、
それなりに大きな建物であるその壁面には
往来を行き交う者に向けて情報を発信する
電光掲示板が目映い光を放っている。
情報といっても、キャンペーンや天気など
見落としても生活に大した影響もないような
情報ばかりである。
私はよくそこを車で通った。

いつものように
爆音でパンクロックを垂れ流しシャウトしながらの運転で
あざやかに車の間を縦横無尽に駆け巡っている中、
この闇夜に光り輝く電光掲示板に目がいった。
それは、原始人が恐竜に襲われている映像であった。

まず、恐竜の栄えたころに原始人はいないという謎と、
なぜ襲われているのか不明であると同時に、
この後の話の展開、つまりオチといわれる部分と
パチンコ店との共通項がなんら思い浮かばない。
一体、どうなるのだろうか。
しかし猛烈なスピードで走る私の車では、
当然のことながら、恐竜に追いかけまわされる原始人といった、
映像というよりは画像程度の情報しか目にすることができず、
オチまでは眺めることができない。
私はこの謎と不明に満ちた映像がどうしても気になり、
後ろを振り返った。
だが、電光掲示板は通り過ぎた後では見ることができない。
「まあ別にどうでもいいけど」
そういった矢先、前の車に激しく衝突した。
夜気にパンクのロックが浸透していく。

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